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はじめに

団地再生支援協会は、高度成長期の団地建設をベースにした1990年以降の経済の低成長・少子高齢・ストッ ク過剰状態から、将来における持続的社会づくりを包括的に捉えています。2003年団地再生の産業化と研究 を目的に、団地再生産業協議会およびNPO団地再生研究会が発足し、その活動は現在の団地再生支援協会へ と引き継がれました。私たちは団地の再生を通じ、サステナブルな社会の形成と地域コミュニティの醸成、 さらにその担い手づくりを皆さまと進めていくことを願っています。



協会発足の背景と歩み

戦後の日本では経済成長を賄うための労働力とその居住環境の提供が国家的課題であり、1960年代か ら80年代にかけて大都市郊外のニュータウン開発と団地建設が爆発的に進みました。集合住宅の建設は世 界的に行われており、そこでは社会的課題を背景とした建築デザインの研究が欧州そして日本でも行われ てきました。



[思想| デッサウ会議(1999)の開催]

環境としてのまとまりの大きさに従い主要な意思決定者が異なることを明確にしたうえで、全体統合す る思想が提起されました。今でも使われる「ティッシュ」「サポート」「インフィル」というデザイン思想 は1950年代の終わりからハブラーケン博士により提唱されてきましたが、その思想は建築・都市の環境構 成要素ごとに所有者・利用者の権利義務を明確化する、など実際の計画設計においてより具体化されました。 日本では本会議の参加者により2000年に団地再生研究会が結成され、その思想や活動は現在の団地再生支援協会へとつながっています。



[開発|オープンビルディングの研究開発]

1990年代以降様々な団地再生プロジェクトが発足しました。集合住宅団 地再編手法研究開発(2012)では、サポートインフィルに関わる「合意形 成プロセス」や、コスト品質などの「オープン化」が提示されました。



[潮流|サステナブル社会に向けたまちづくり]

21世紀に入り持続可能な社会への要求は年々強まっています。それは気 候変動要素だけではなくSDGsに代表されるような経済活動や個人意識行動 まで、社会活動全体に及びます。このように持続的な社会を念頭とした環 境下における豊かな住環境づくりは住まい手の切実な要求であり、そのキー ワードは社会課題として広く認識されています。サステナブルな社会づく りのプロジェクトも具体化されてきました。持続可能社会に向けた超高齢 社会への対応や新エネルギーの導入などを通じ、団地の枠を超え「まち」 や「地域」でその実現を図る、言わば地域再生への誘導を意図したプロジェ クトが動き出しています。



このように団地再生は社会課題に対する住環境からの解決策であり、団地再生支援協会もその考えに立脚 した活動が求められています。今や団地再生という言葉は共通認識として世間的にも認知されつつあります。 再生による社会への還元効果、影響度などそのポテンシャルも高く社会的な要求に則った活動と言えるでしょう。


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