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「時代認識は浸透、再生のための具体的手法はまだこれから」

団地再生支援協会とは2016年からのご縁です。「集合住宅再生・団地再生・地域再生学生賞」の審査員を務めさせていただいております。毎年、団地や地域の再生についての様々なアイデアと出会うことを楽しみにしています。

過去7回の審査を通して、人口減少期、縮退期、成熟期といった時代背景を前提とした考え方が浸透してきたことを感じています。これは学生たちの卒業設計や実践的取り組みのテーマ設定によく表れています。

一方で提案の具体的な内容をみると、経済成長期であるかのような表現や手法はまだまだ見られます。人口減少が著しいエリアの団地で、人口減少を前提にテーマ設定をしているにも関わらず、大規模な増床や土木構造物の新設を提案している案は少なくありません。これは学生の問題というよりも、指導する上の世代の問題のように思えます。新しい時代の社会課題に対する魅力的な具体策を、現在の実務者や研究者たちは十分に生み出し切れていないというのが実情ではないでしょうか。

若い世代の時代認識に経済成長期の影はあまり感じません。まずは、現役の上の世代が意識と方法をさらに変えていく必要がありそうです。成長してくる若い世代とのコラボを楽しむためにも、私自身さらなる研鑽を重ねなければと思う次第です。


 

宮部 浩幸(みやべ・ひろゆき)

特別会員 近畿大学建築学部 教授/SPEAC


 

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