top of page

「団地再生に想う」

かつて元東ドイツのライネフェルデなどいくつかの人口滅の都市の団地再生を視察する機会に恵まれた。減築、バルコニーやエレベータの設置、バリアフリー改造など見て回った。それ以来、団地再生の関心が深まり、日本における団地、集合住宅の研究をした時期がある。滋賀県立大学のゼミ生らともに事例を集め幾つかの滋賀の団地再生プロジェクトを提案した。テーマの一つは経過する時間をどう捉えるかにあった。つまり再生には段階的な計画が絶対に必要である。団地本体の改造は構造が許す限り、メゾネットやユニット拡張など様々な手法が可能である。加えて公団特有のみどり豊かな敷地全体のランドスケープも重要であった。

しかし再生計画は意外と旬なもので時間ととも案は色褪せていく。再生には環境問題を背景にした複合的な意義が確かにある。新築も含めて幅広く解釈できるが、これからの再生はその耐用年数によって再利用も難しくなってくると思われる。今懸念されるのは都市の高層集合住宅である。その未来は明るいとは思えないがデベロッパーには未だ建設計画が目白押し、しかし日本ではいつか必ず自然災害後に大問題になるだろう。インテリアの改修程度ではすまないことが予想され、存在そのものが問われる。その計画に警鐘を鳴らす役割も団地再生支援協会にあるのではないだろうか。


 

松岡 拓公雄(まつおか・たけお)

個人賛助会員


 

bottom of page