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「団地再生への期待」

この協会への参加は澤田さんからのお誘いであった。私自身卒論で当時(1967年頃)の住宅公団の団地における子供たちのコミュニティがどのように成立し発展していくのかといったテーマで取り組んだことから、その後も公団の団地については間接的ながら興味を持ち続けてきた経緯がある。その後大学院に進んでからは住宅設備に関する研究テーマに巡り合ったのでここでも公団住宅における住宅設備の変遷が我が国のその後の住宅設備の先駆けであったことも強く印象に残っている。

あれから半世紀以上がたとうとしている今、まさにこれらの住宅ストックがどのように変化していくのかは極めて重要な課題ではないかと思っている。近年建築を離れてエネルギーや温暖化問題を中心に仕事をしている立場から見ても、団地再生は避けて通れない課題ではないかと考えている。公団住宅以降の集合住宅は民間事業者の手にゆだねられているが、ストックの再生といったテーマは民間レベルでは極めて敷居の高い課題ではないだろうか。その意味でも国が率先して公団団地におけるモデル的な団地再生事業を実施すべきではないかと考えている。建築計画的な提案はもちろんだが脱炭素計画に寄与するような画期的な提案と設備や部品開発につなげ、初期の公団住宅が果たしたような先駆的なビジネスモデルにつなげることが出来れば、民間事業者にとっても非常に有効なソリューションモデルにつながるのではないかと期待している。

是非協会会員諸氏のこの問題への積極的な関与と、国に対する働きかけを期待してやまない。


 

中上 英俊(なかがみ・ひでとし)

特別会員・理事 住環境計画研究所 代表取締役会長


 

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