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「協会創立20周年に寄せて」

20年以上前に澤田先生から団地再生をするのでと誘われて、私自身はあまり関係ないかなと思っていたら、神奈川県住宅供給公社の理事長になり「団地再生」の真っ只中に。戦後いち早く製造業が復興した神奈川県、工場従事者のための住宅建設に取り組み、RC造水洗トイレ風呂場付きの2DKと当時の平均仕様「木造長屋、トイレは共同トイレ」から大きくグレードアップされた仕様で建設が始まりました。また立地も今の横浜山手駅から7分程度、まだ電車が開通していなかった為、今では考えられない好立地です。ところが敷地が無くなり次第に郊外にそして丘の上と建設が進み、団地イコールバス便、山の上になってしまいました。築60年以上の案件の再生は立地の良さから建替えが容易ですが、バス便、山の上は老朽化した建物を建て替えても入居が見込まれません。

人口減少、空き家増加の時代に突入した時代の団地再生はさらに難しさが増したと思います。これに加えて入居者の高齢化と建物の老朽化は確実に毎年増加してゆきます。

入居者の高齢化と入居率の低下、立地の悪さは簡単な団地再生とはいかず、減築しながら入居率を高めながら、廃止も検討する時代になってしまいました。

戦後の日本の復興に寄与した団地、しかし日本の産業構造の変化に伴い環境が大きく変化してゆく中、取り残されないようにさらにスピードが求められていると思います。


 

猪股 篤雄(いのまた・あつお)

特別会員 神奈川県非常勤顧問 政策推進担当


 

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